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日経ものづくり 2016年8月号

技術者のためのオリンピック観戦ガイド 2016Part1 用具編 競泳

継ぎ目と裏地に機能を隠す

水着[デサント(アリーナ)/ミズノ/山本化学工業]

  • 中山 力、木崎健太郎、宇野麻由子、内山育海、高橋史忠
  • 2016/07/29 00:01
  • 1/5ページ

出典:日経ものづくり、2016年8月号、pp.40-43(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

 2008年の北京五輪で一世を風靡(ふうび)した、英Speedo社の競泳用水着「LZR Racer(レーザーレーサー)」。ウエットスーツのような浮力を持つ素材が採用され、着用した競泳選手が次々に世界新記録を達成する様子は、多くの人に強烈なインパクトを与えた。その裏で、コーチたちは「泳ぎ姿勢をフラットに保つ」こと、つまり姿勢による抵抗(形状抵抗)の重要性に気づき始め、泳法が変わったという(図1)。

図1 「フラットな泳ぎ姿勢」がキモに
「レーザーレーサー」などを着用すると「浮く」という感想が聞かれるが、それは「フラットな泳ぎ姿勢(図上)を維持できていたということではないか」と分析されている。一般に、泳ぎ下手の原因は、脚が落ちたり(図中)、腹が落ちたり(図下)した状態にあることが多い。トップスイマーでも疲労時はこうした姿勢になりやすい。
[画像のクリックで拡大表示]

 以来、素材メーカーも巻き込んで“高速水着”の開発が各社で激化するも、国際水泳連盟(FINA)による規定はどんどん厳しくなった。例えば、素材へのコーティングは禁止され、厚み、浮力、通気量には制限が課せられた。男性はへそ下からひざ上の範囲内、女性は首、肩、ひざ下を覆わないこととなっており、ファスナーなどは使えないようになった。その結果、水着メーカーも、従来の表面摩擦抵抗の低減に向けた生地開発競争から転換し、形状抵抗の低減を目指すのが主流となった。さらに、水着で覆うことのできる骨盤周りと股関節に対して、どのようにサポートするかが争点になっている。

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