富士重工業は車種を絞る「選択と集中」の戦略で、これまで高い利益率を維持してきた。円高が進む中で2020年度まではこの戦略を維持し、年間120万台以上の世界販売を目指す。ただしそれ以降は、水平対向エンジンを前提にした戦略に限界も見え隠れする。直列エンジンや小型車対応など、次世代車への選択肢を考え直す時期に来ている。

 水平対向エンジンは、富士重工のコア技術である。2025年までを見据えた新プラットフォーム「SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)」でも、継続して使う。ただし同エンジンを使い続けることは、これまでの米国市場を軸とした強みをより伸ばすことにはなるが、世界市場で成長するチャンスに乗り遅れるリスクも含む。2020年度以降を展望すると、水平対向エンジンの進化だけではなく、直列・V型エンジンを搭載するプラットフォームを検討する時期にきている(図1)。

図1 SGPの課題
図1 SGPの課題
水平対向エンジンをベースにしており、車両サイズが限定される、FF車に対応しにくい、電動車両の燃費を高めにくいといった課題がある。
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