“走り”を売りにしてきた富士重工にとって、最大の課題は2018年に強化される米ZEV規制。エンジンの改良よりもPHEVやEVなど電動化に注力することで規制対応を図る方針だ。ただ、富士重工のエンジンは縦置きであるため、横置きの一般的なHEVシステムは採れない。SGPをベースに2018年にPHEV、2021年にはEVを投入することで、環境対応を進める戦略だ。

 富士重工のパワートレーン戦略が揺れている。2016年5月には中長期経営計画「際立とう2020」を修正し、2014年の公表当初には2016~20年の間に投入する予定としていた、エンジンの「気筒休止」と「リーン(希薄)燃焼」、次世代HEVについての記載を省いたのだ。

 最終的に残ったのは2016年から投入する直噴エンジンの拡大展開、2018年のPHEV、2019年の新設計ダウン・サイジング・ターボ、2021年のEVである。次世代HEVについては記載されなかったものの「検討しており、投入する可能性はある」(広報部)とする(図1)。新しい中長期計画は、エンジン単体の性能向上よりも電動化対応に注力する方向に舵を切った形だ。

図1 パワートレーンの環境対応ロードマップ
図1 パワートレーンの環境対応ロードマップ
2016年5月に発表した。2014年に発表した従来版に比べて、より電動化対応を強化している。
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