遠くの場所の空間を丸ごと再生する、次世代の“空間ディスプレー”。これまでのディスプレーとは異なり、さまざまな位置から、動きながらでも、滑らかで自然な立体像が浮かんで見える。このような空間ディスプレーの実現のカギを握る基盤技術を整理し、今後の技術進化を見通す。
空間ディスプレーを実現するための基本技術として、現段階では2種類の候補が提案されている。「ライト・フィールド・ディスプレー」と「ホログラム・ディスプレー」である(図1、図2)。いずれも原理的に、これまでの平面タイプのディスプレーとは異なり、さまざまな位置から、動きながらでも、立体像が浮かんで見えることが特徴である。立体像を見るための専用眼鏡を掛ける必要はない。韓国Samsung Display社が「SID(Society for Information Display)」(2016年5月22日~27日、米国サンフランシスコ)で披露した試作品の表示品質はまだ初歩レベルだが、来場者の注目度は非常に高かった。