「4〜5年前に(量産直前での)手戻りが多かった時期があった」。こう語るのは、ケーヒンの上席執行役員で開発本部四輪担当兼技術評価室担当の伊藤康利氏だ。例えば、ある製品の鋳造部品で量産型を造ってから不具合が発覚し、対応に多大な工数を要したのだ。

 この部品は、新規開発品から派生した「2機種目」(同氏)の製品だった。構造に大きな変更はなく、部分的な変更が加えられたものだ。そのため、数値シミュレーションで確認はしたものの、試作レスで量産型を作製したという。しかし、その部分的な変更が結果的に大きな影響を与えていたことになる。

 同社ではこのような手戻りが相次いだことを受け、「『設計とは何か』を管理職中心に真剣に話し合った」(同氏)という。その結果として、2016年度から「設計図面改革」と名付けたプロジェクトに取り組み、徐々にその効果が出始めている(同社の具体的な取り組みについてはPart2参照)。