3Dプリンティングで製品形状に制約がなくなりコンピューターでは高度な設計計算が可能に。IoT(Internet of Things)の普及も始まった。これらの変化が製品と設計プロセスをこれまでにない形に大きく変えていく。メーカー、研究機関、ベンダーで進行する新しい設計への挑戦の姿をレポートする。
これまでにない設計
目次
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従来の常識を破る製品へ、大きく変わる設計者の役割
「設計上、従来は破れなかった限界を破れる可能性がある」(東京大学生産技術研究所革新的シミュレーション研究センター センター長・教授の加藤千幸氏)。設計技術者の仕事は、ユーザーにどんな価値を提供するかを決め、製造方法を踏まえて価値の実現方法を経験や実験結果から導き出し、ユーザーが利用する場面を推測しつ…日経ものづくり
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限られたスペースで表面積を最大化
大同特殊鋼
大同特殊鋼が2016年3月に発売した、金属部品の熱処理に用いる加熱炉「プレミアムSTC(Short Time Cycle)炉」には、3Dプリンターで製造した熱交換器を組み込んである。ねじのような、らせん状の突起のある形状で、“ねじ山”の内部には空気の流路が通る複雑な形状だ。これをセラミックスの一種で…日経ものづくり
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造形能力を見極めて質量を3/4に
日本ドレッサー GE 刈羽事業所
新潟県・刈羽村にある日本ドレッサー(本社東京)の工場では、この数カ月間、昼夜を問わず稼働し続けている製造装置がある*1。その装置とは、同社が2014年11月に導入した金属3Dプリンターだ1)、*2。日経ものづくり
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1万6000回の計算で30世代進化させる
マツダ
マツダは、基本的な設計思想と基本構造を複数車種にまたがって共有する「コモンアーキテクチャー(基本骨格)構想」による製品開発を進めている。このコモンアーキテクチャー構想を支援するための多目的設計最適化を、宇宙航空研究開発機構(JAXA)とS共同で研究し、「HPCI戦略プログラム 分野4 次世代ものづく…日経ものづくり
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潜在的な性能を素早く引き出す
三井造船 昭島研究所
三井造船昭島研究所は、船体とプロペラ(スクリュー)周りの流体シミュレーション技術を開発してきた。その一環として、プロペラの効率向上、すなわちトルク低減と推進力増加の両方を目指す多目的設計探査に取り組んでいる。設計用システムを構築し、実際の設計案件にも適用し始めた。日経ものづくり
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作業量の肥大化から設計者を解放
リコー
形状の複雑さがコストやリードタイムに直結しないのが3Dプリンターのメリットだ。しかし、形状が非常に複雑になった場合、その形状をどうモデリング(3Dデータ化)するのかが課題となる。3D-CADを設計者が操作するという従来の設計手法では、膨大な作業量となってしまう。日経ものづくり
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ナマの稼働情報で製品が進化
ヤンマー
IoT(Internet of Things)の普及を背景に、製品の稼働状況を遠隔地から監視、支援するサービスが増えている。これまでは出荷したら、あとの管理や運用が顧客任せになっていた製品でも、IoTを活用したサービスによってメーカーが出荷後の製品について直接支援できるようになった。そうなると不具合…日経ものづくり
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3Dプリンティング前提の設計を支えるソフトウエア・ツール
海外のソフトウエア会社が、3DプリンティングやComputational Designデザインに関してのツールの開発を進めている。そのようなツールを使った事例も見られるようになった。日経ものづくり
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JAXAが開発する多目的設計最適化・探査の支援ツール
宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所は、多目的最適化計算による設計探査のためのツールを開発している。多目的進化計算のアルゴリズム「Cheetah」、多次元データを可視化することで最適解の分析を支援するツール「iSPM(interactive Scatter Plot Matrix)」などが…日経ものづくり
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「コンピューターの設計が人間を超える」が66.5%
調査テーマ「これまでにない設計」
近い将来、人間が考えるよりもよりよい設計がコンピューターによって可能になったり、3Dプリンティングによってこれまでにない製品が生み出されたりする、と考える回答者が軒並み60%を超えた。「近い将来に設計が大きく変わる」と現実感を持って受け止める技術者が増えているようだ。囲碁の名人に人工知能(AI)が勝…日経ものづくり
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空気抵抗とリフトの低減を両立
横浜ゴム
タイヤの空気抵抗が少し増えても、それ以上に車体全体の空気抵抗が減れば燃費を向上できる。そのような着想から、フィン(突起)を付けたタイヤ「エアロダイナミクスタイヤ」を横浜ゴムが開発した(図1)。技術者が考えたアイデアを基に、スーパーコンピューターがフィンの位置や大きさを少しずつ変えて流体解析計算を伴う…日経ものづくり
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超複雑構造で軽量化を極める
Cerevo
2016年1月に米国ラスベガスで開催された「CES 2016」で注目を浴びた、Cerevo(本社東京)のIoT自転車(ロードバイク)「ORBITREC」(図1)。計測・通信装置「RIDE-1」を搭載しており、走行中の精密なログをスマートフォン経由でサーバーへ転送できるのが特徴だ*1。フレームの製造に…日経ものづくり