充電ケーブルなどを取り扱う必要がない電気自動車(EV)などへのワイヤレス給電技術。自動運転への機運が高まったことで、将来のオプションの1つから、EVにとってほぼ必須の技術に昇華しつつある。2018年にも策定が完了する標準規格を見込んで、各メーカーのし烈なワイヤレス給電システムの開発競争が始まっている。

 電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)へのワイヤレス給電(WPT)技術は、実用化こそスマートフォンなどに出遅れた。しかし、自動運転の実用化に向けた機運が高まるにつれて、WPTも次世代自動車に欠かせない技術の1つとして、世界の主要自動車メーカーが本気で取り組み始めた。国際標準規格が固まる見通しの2018年以降、WPTは、EVやPHEVの充電システムの主役に躍り出る可能性もある。

 既に製品も登場している。米EvatranGroup社は2014年、標準化を待ちきれずに、独自仕様でEV/PHEV向けWPTシステムを米国で発売した(図1)。

図1 EV向けワイヤレス給電製品は米国では発売済み
図1 EV向けワイヤレス給電製品は米国では発売済み
米Evatran Group社が販売中のEV向けワイヤレス給電システム「Plugless」。ディーラーなどで装着してもらって利用する。価格は当初3000米ドルだったが、現在は1500米ドル前後となっている。(写真:Evatran Group社)
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