急成長する民生品向けWPT市場に向けて、送受電ICやモジュールの製品開発も「第2幕」に突入した。15Wなど中電力品や複数規格への対応、スマートフォン以外の用途に向けた製品や技術の開発が加速している。課題解決競争の先には、従来の「置くだけ充電」を超えた新しいワイヤレス給電の実現も見えてきた。

 「我々はワイヤレス給電(Wireless Power Transfer:WPT)では後発だが、15W対応品では先頭を走りたい」(ローム)。「今後、世界で3割の市場シェアを取りたい」(東芝)──。

 Wireless Power Consortium(WPC)のQi規格には発足から数年間、5Wの低電力向け仕様しかなかった。WPCの発足当初、製品化に積極的だった日本のスマートフォンメーカーも、京セラを除くとほとんどが2014年以降新製品を出しておらず、半導体(IC)メーカーも勢いを失っていた。一方で、頻繁に製品を出し続けた米Integrated Device Technology(IDT)社がスマートフォンを中心とした民生品向けWPTの送受電ICで4~5割の市場シェアを握った。IDT社によれば、韓国Samsung Electronics社のスマートフォン「Galaxy S6 edge+」や「同S7」、スマートウォッチの「Gear S2」などは、IDT社の送受電ICを採用しているという。