FRONTEOは、専門家が言語で表現された情報を選択するときの基準を学び、その基準でデータを採点することで、膨大なデータから有用な情報を絞り込める人工知能(AI)技術を開発した。他のAI技術と比べた利点や技術のポイント、応用例を開発者に解説してもらう。(本誌)

 FRONTEO(旧称UBIC)は、文章を読んだ人が重要だと判断する暗黙の基準を学習し、多数の文書からその基準に沿ったものを抽出できる人工知能(AI)技術を開発した。幅広い分野のソフトウエアで使えるAIエンジン「KIBIT(キビット)」注1)として実用化を進めている。既にさまざまな製品に組み込まれて、多くのユーザーが使っている。

注1)「KIBIT」という名称には「人間の機微を理解するAI」との意味合いを込めた。

 最大の特徴は、処理能力がそれほど高くない普通のノートパソコンなどを使って、少量のデータから学習が可能なことである。その実用性の高さは、当社の事業領域である国際訴訟や不正調査といった、誤りを許容しがたい分野での利用実績が裏付けている。また我々の技術を使うことで、例えば10万文書あたりのレビュー費用を約1/5に抑えることができる。

 KIBITのもう1つの特徴は、人の代わりにAIを使うのではなく、人の支援にAIを使うことである。例えば訴訟で利用する証拠を選別する場合に、KIBITで候補を絞り込んだ後に、専門家が見てさらに重要なものを選ぶことで、極めて質の高い結果を得ることができる。人とAIの優れた能力を融合させ、費用対効果を最大限高めるのが我々のアプローチである。