モーターの駆動にはさまざまな方法があり、その制御にも電圧制御や電流制御などがあることを、本連載では紹介してきた。その中で、最近、基本的手法として用いられているのがスイッチング駆動である。オン・オフ動作を行うスイッチを用い、パルス幅を変調することでモーターを制御する。今回は、この駆動方式と駆動回路を解説する。(本誌)

 スイッチング駆動とは、パワーデバイスをスイッチング領域や飽和領域と呼ばれる動作領域で使用する方法である。デバイスは、オンまたはオフの動作を行うスイッチとして用いる。スイッチング駆動で発生する損失は、スイッチがオフからオン、オンからオフに切り替わるときに生じる損失(スイッチング損失)と、オンになっている時に生じる損失(定常損失)の和である。

飽和領域=トランジスタのベース電流が十分に大きくなった状態では、コレクター―エミッター間電圧は一定で変化しなくなる。この領域が飽和領域である。トランジスタをスイッチング素子として使うときに使用する。トランジスタを増幅器のようにコレクター―エミッター間電圧を変化して使う線形領域で使用するとコレクター損失が大きくなる。