落ち込んでいた南米市場が復活し始めた。各社が投資を再開する中、首位を伺う勢いで成長するのがRenault・日産自動車グループだ。保護主義政策の見直し検討が始まる中、今度は飛躍できるか。 (最終回)

 南米市場は、2016年第1四半期に底打ちし、現在は順調に回復している。2017年の自動車生産は、前年比20%増の330万台に回復しそうだ(図1)。資源価格の上昇と通貨の安定、消費者物価と金利の低下が新車需要を支える。

図1 南米はいよいよ回復期に入る
図1 南米はいよいよ回復期に入る
2017年に自動車生産は年間330万台規模まで持ち直す。2017年以降はIHS Markit Automotiveの予測。
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 需要回復に伴って、自動車メーカー各社は投資活動を再び活発化させようとしている。世界的なSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)ブームが南米市場にも及び、小型SUVの開発競争が激化する。

 自動車メーカーを見ると、両雄の欧米Fiat Chrysler Automobiles(FCA)社とドイツVolkswagen(VW)社が苦戦する一方で、Renault・日産グループと米GM社が勢いに乗る。Renault・日産は小型SUVとピックアップトラックの現地生産を拡大する。GM社はアジアの優先順位を下げて、南米に力を注ぐ。

 政策面では、ブラジルが保護主義的な貿易政策から脱するかどうかに注目したい。新しい自動車産業政策を策定中で、工業製品税を30%下げて、エネルギー効率と安全性の高い自動車を優遇する見込みだ。自動車産業の輸出拠点として再成長を狙う。