モディ政権の経済成長を後押しする政策で、インドの自動車市場は拡大する。好機到来と言えるが、競争は激しい。早くも脱落するメーカーが登場。分かりにくい自動車政策に右往左往する面も見えてきた。(本誌)

 インド市場は今後、大きく成長する。日系自動車メーカーにとって、極めて重要な市場になるだろう。

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 2017年の新車販売台数は過去最高の370万台規模に達する見込みだ(図1)。2020年には約500万台に達して日本市場を上回り、世界3位の市場になりそうだ。さらに2030年には、日本市場の約2倍の規模になると予測する。

図1 インドの新車販売は急激に成長
図1 インドの新車販売は急激に成長
2023年には年間600万台を超える水準に達する見込みだ。2017年以降はIHS Markit Automotiveによる予測値。
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 背景にあるのが、中国やASEAN(東南アジア諸国連合)に比べて若年層が多く、労働者が豊富なこと。加えて近年は政治的に安定し、しばらく経済環境が堅調に推移する。

 モディ政権は、自動車市場の成長を後押しする施策を矢継ぎ早に打つ。規制緩和に加えて、道路・港湾・鉄道などに対するインフラ整備事業の拡大を図る。

 自動車メーカーにとって好機到来といえるインド市場。ただ同国政府の自動車に対する方針が分かりにくい面があり、商品戦略の策定で右往左往することになりそうだ。2017年7月に始まった新しい税制で、ハイブリッド車(HEV)の税率を大幅に高めて普及を抑え、ガソリン/ディーゼル車や高級車を優遇する。一方、2030年には全車両を電気自動車(EV)にする目標を掲げる。