欧州では、自動車産業の構造転換や生産拠点の再編が加速。一方、英国の欧州連合(EU)離脱に対する先行き不透明感が足かせになろうとしている。電動車両では、中国との連携強化がプラスに働きそうだ。 (本誌)

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 2012年以降、中西欧のライトビークル(乗用車と車両総重量6t未満の商用車)の自動車生産は、原油安や金利安の恩恵を受け順調に回復してきた(図1)。しかし、短期的には英国のEU離脱の先行き不透明感から生産は年間1900万台前後で推移する。長期的には、少子高齢化や環境規制の強化などが影響し、同新車需要は年間1750万台に留まりゼロ成長期に向かう。

図1 中西欧21カ国の生産台数と同34カ国の販売台数
図1 中西欧21カ国の生産台数と同34カ国の販売台数
IHS Markit Automotive調べ。対象はライトビークル(乗用車と車両総重量6t未満の商用車)。2016年までは実績。2017年以降は予測。
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 EU域内では産業構造の転換と生産拠点の再編が加速する。ドイツでは、電動化、自動運転、モビリティーサービスの分野で自動車メーカーの枠を超えた合従連衡が進む。スペインは、小型車の輸出拠点として成長。英国はEU離脱で自由貿易圏を維持できなければ、自動車産業が壊滅的な打撃を受け得る。

 ドイツと中国が超国家的な「環境規制連合」を形成し、電気自動車(EV)の普及をリードしていく。ドイツ自動車メーカーは、EV専用プラットフォームなどの最新技術を中国メーカーへ移管していく。吉利汽車や東風汽車から経済的支援を受けたスウェーデンVolvo社やフランスPSA Peugeot Citroenグループも電動化プラットフォームを共有し、合弁事業を深化させていく。