スマートフォンであらゆるサービスが利用できるようになり、シェアリングエコノミーをはじめとする新しいビジネスモデルが登場するなど、産業や社会のデジタル化は製造業のエンドユーザーの嗜好さえも大きく変えようとしています。このデジタル社会において、中心的な役割を担うのが、企業などの組織間で相互にやり取りされるデータです。クラウド上でデータを共有することによって、これまでにないビジネス価値の創出や利便性の向上を実現できる可能性があります。

 一方で、組織間のデータ共有を進める上では、「どのデータを」「いつ」「誰と」共有するかを厳格に管理すべきであるという議論があります。いわゆる「データ主権」の問題です。このデータ主権を担保しつつ、セキュアにデータを共有する仕組み作りを進めているのが、ドイツの「Industrial Data Space」(IDS)と呼ばれるイニシアティブです。そこで今回は、IDSの取り組みを紹介していきます。