触覚フィードバック機能を実現する電子部品の開発競争が過熱している。部品メーカーが最近注力し始めたリニアアクチュエーターやピエゾアクチュエーターは、既存部品よりも応答性が高い上、多彩な触感を提供できる。加えて、超音波や電気刺激といった次世代技術の研究開発も進む。その最前線を追った。

 リアルかつ多彩な触感をフィードバックするには、応答時間が短く(立ち上がりが速く)、振動の振幅と周波数を高精度で緻密に制御できるアクチュエーターが必須だ。ところが、これまで多くの機器に搭載されてきた偏心モーターは安価なものの、応答時間は100ms前後と長く、振動も単調で限られた触感しか実現できなかった(図1)。

図1 応答時間が短く、触覚提示の表現が多彩なリニアとピエゾ
図1 応答時間が短く、触覚提示の表現が多彩なリニアとピエゾ
これまで、触覚フィードバック部品として、安価な偏心モーターが多用されてきた。ただし、応答時間が100ms前後と長い上、振動も単調で限られた触覚刺激しか実現できなかった。今後は、偏心モーターよりも応答時間が短く、多彩な触覚刺激が可能なリニアアクチュエーターやピエゾアクチュエーターの採用が広がる見込みである。加えて、電気刺激や超音波による新しい触覚刺激技術の研究開発が進んでいる。(図:リニアアクチュエーターはアルプス電気、ピエゾアクチュエーターはTDKの資料を基に本誌が作成)
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 この状況が大きく変わりつつある。部品メーカーが、リニアアクチュエーターやピエゾアクチュエーターの開発に力を入れ始めた。いずれも、偏心モーターに比べて高価だが、応答時間は短い上、振動の振幅と周波数を緻密に制御しやすいので、多彩な触感を表現できる。