各社のIoTプラットフォームにはそれぞれ特徴がある。多くの日本メーカーがネットワークのエッジ側に力を入れるのに対し、米国のIT企業はクラウドサービスの強みを前面に押し出す。前者は自社製のゲートウエーなどでエッジ側の処理を強化できることを売り物にする。後者はクラウドで提供する機能やその組み合わせで差異化を図る。

 大手のIT企業や電機メーカーのIoTプラットフォームは、基本的な機能は同じでも各社の強みや注力する部分に違いがある。(第1部の表2)これらを使ってIoTシステムを構築するためには、それぞれの特徴を把握することが重要だ。

 大きく分けると米Amazon Web Services(AWS)社や米IBM社、米Microsoft社などの米国のIT企業と、日立製作所や東芝、富士通、NECといった国内電機メーカーでは、他社との差異化のポイントが異なっている(図1)。米国勢は、世界規模で展開するクラウドサービスの能力の高さを武器にする。日本勢は、クラウドサービスにつながるゲートウエーやセンサーノードなど、ネットワークの末端(エッジ)寄りで強みを主張する企業が多い。

図1 日本の大手電機メーカーはシステム構築やエッジ側の処理に力点
図1 日本の大手電機メーカーはシステム構築やエッジ側の処理に力点
米国のIT企業はクラウドの利用促進を重視するのに対して、日本の大手電機メーカーはシステムの構築やエッジ側の処理に力を入れる傾向がある。
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 両者の違いが垣間見えるのが、IoTプラットフォームの価格体系である。米国勢のほとんどは料金体系を明示しており、ネットワークでやり取りするメッセージ数に応じた従量課金が多い。あくまでもクラウドサービスの使用量で、システムの構築費などは含まれていない。

 一方、日本の大手電機メーカーの多くは、こうした目安を公表していない。プラットフォームの利用料と、クラウドとエッジをつなぐシステムの構築費用が入り組んでおり、一定の料金体系を示すのが難しいようだ。

 センサーノードなど、エッジ側で利用する機器でも違いがある。日本の電機メーカーは、エッジ側での処理で強みを出すために、自社で開発したゲートウエーやセンサーノードを提供することが多い。一方で、米国のIT企業はこうしたハードウエアに、大抵はパートナー企業の製品を利用する。