大半のエレクトロニクスメーカーが研究所を縮小する中、2010年代に入って日本電産は2つの研究所を設けた。2012年に立ち上げた中央モーター基礎技術研究所と、2015年に立ち上げた生産技術研究所だ。前者はモーターに関するあらゆる研究を行う。一方後者は、生産技術だけでなく、より広範な先端技術の研究を担う。

 10兆円企業に向けた、新たな事業の柱を作るための重要拠点。それが、日本電産が2012年に立ち上げた中央モーター基礎技術研究所と、2015年に立ち上げた生産技術研究所である。

 中央モーター基礎技術研究所では、モーター本体だけでなく、構成材料から制御方法、CAEまで、次世代のモーターで必要な技術の基礎研究に加えて、その応用研究まで取り組む。その中心は、2014年に神奈川県川崎市に新設した研究施設である。加えて、モーターの構造や制御の基礎研究を台湾の研究拠点が、ロボット向けモーターや計測技術、CAEの高度化をシンガポールの研究拠点がサポートする(図1)。

図1 次世代のモーター基礎技術を3極で研究
図1 次世代のモーター基礎技術を3極で研究
日本電産の中央モーター基礎研究所では、次世代のモーターに必要な各種技術や応用技術などを研究する。神奈川県川崎市の研究施設の他、台湾とシンガポールに研究所を設けて、3極体制で研究を進めている。それぞれの拠点で、地元の研究機関や大学との連携も図る。(写真:日本電産)
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