「より強く、より複雑な形状を高精度かつ安価に高い生産性で造ることを追求している」。こう語るのは、リナシメタリ(本社福岡市)の代表取締役で、九州工業大学先端金型センターの中村克昭氏*1だ。同社では、鉄やアルミニウム(Al)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)と幅広い金属を対象に、高強度化と鍛造性の向上に取り組んでいる(図1)。具体的には、結晶粒微細化・熱処理技術「RMA-CREO」(以下、CREO処理)、金型を加熱することによる恒温・温間鍛造、多軸プレスの3つを柱とする。

*1 中村氏は九州大学で金属結晶制御と塑性加工を学んだ後、コマツの生産技術研究所やTOTOの基礎研究所を経て、九州大学に赴任。その際に九大発ベンチャーとして立ち上げたのがリナシメタリだ。
図1 プロセスによる金属の高機能化
図1 プロセスによる金属の高機能化
リナシメタリでは、結晶粒子微細化と金型加熱装置による恒温・温間鍛造、多軸プレスの3つの技術をベースに、高強度化や鍛造性の向上といった金属の高機能化を狙う。
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