心臓、脳、耳、目、足を磨く低速/超低速の超小型電気自動車(EV)は、クルマというよりむしろ、人間によく似たロボットに近い。自動運転の人工知能は“脳”、電源は“心臓”、姿勢制御のジャイロ/加速度センサーは、耳の中の“三半規管”、レーザーセンサーやステレオカメラは“目”、モーターや車輪は“足”に相当する。各メーカーは自らの強みを生かし、それぞれに特徴ある“EV”を開発している。

 低速/超低速の超小型EVは、高速道路などに向けて開発が進む一般的な自動運転EVとは開発のポイントや実現すべき機能が大きく異なる。

 超小型EVでは人が行き交う生活道路や歩道、さらには屋内での走行を想定している。このため、超小型EV向け自動運転技術では、設定されたルートを通りながら自律的に人や障害物を避け、しかも特定の人を追跡するような機能の実装も求められている。

 それらの実現のために利用する多数のセンサーの多くは、人間の五感と同様な役割を果たしている。そして必要な応答速度も100Hz程度と人間のそれに近い。結果として、センサーや部品・部材も、必ずしも超高性能ではない民生品からの流用がある程度可能で、そこに自動車メーカーでない民生品メーカーやベンチャー企業の参入余地が生まれている。