曲がり角を迎えたiPhone。2015年9月に発売した「iPhone 6s/6s Plus」の販売台数は当初予測を下回る見通しだ。最近は、新機種が登場しても「驚きがない」と言われることが多い。状況を打開するには、消費者に「欲しい」と思わせるハードの開発が求められる。鍵を握るのがデザインの革新。機器の形を決めるディスプレーが担う役割は特に大きい。

 「A社とB社の有機ELディスプレーは、Apple社の1次試験を通過したそうだ」。「試験を通らなかったC社は、有機ELディスプレーの開発方針を変更したらしい」。「D社は新工場の主力製品を液晶から有機ELに切り替えた」─。2015年末から2016年初頭にかけて、こうしたiPhoneと有機ELの情報がディスプレー業界を駆け巡った。

 米Apple社が「iPhone」に有機ELディスプレーを採用する可能性が高まっている。早ければ2018年下期に発売される機種に、搭載されることになりそうだ。これまでにない革新的な端末のデザインを可能にする、折りたたみ型の有機ELディスプレーの採用が有力である。

 これまでスマートフォンのディスプレーは液晶がほとんどだったが、iPhoneに有機ELが採用されれば、他の端末にも広がる可能性は高い。液晶ディスプレーを主力としていたパネルメーカーも、有機ELディスプレーの供給体制の構築へ動き出した。