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日経Automotive 2017年12月号

メカニズム詳解

機能を「スライド」と「固定」に分ける

第11回:シートのスライド機構

  • 浜田基彦=契約記者
  • 2017/11/10 00:00
  • 1/4ページ

出典:日経Automotive、2017年12月号、pp.92-95(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

トヨタ車体精工は新しいシートのスライド機構「LSR(Loose-less Smooth-slide Rail)」を開発した(図1)。「軽く滑らかに動くこと」と「ガタなくしっかり固定すること」を両立させることで、3列シート車の商品性を向上させた。既に国産車、海外生産車向けに納入が始まった。

図1 トヨタ車体精工のスライド機構「LSR」
ロアレールを車体の床に設置し、アッパーレールの上にシートが乗る。
[画像のクリックで拡大表示]

 3列シートのミニバンやSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)の2列目シートには、長い距離を動くスライド機構が欠かせない。シートは普段は2列目の位置にあり、時には限界まで前進して3列目からの乗り降りを助ける。3列目に人がいないときは後退して2列目の足元を広くする。首相官邸などのテレビ映像からも分かるように、上級ミニバンやSUVは高級車の主流になりつつある。偉い人が乗る特等席は2列目だ。限界まで広くする必要がある。

長いストローク

 2列目シートの前後ストロークは、長いもので1200mmもある。一般的な1列目シート(運転席、助手席)のストロークは長くて260mmだから、5倍近い。このため1列目シートとはスライドの構造が違う。

 1列目シートはコロやボールを使うものが多い。机の引き出しでよく使う構造に近い〔図2(a)〕。コロやボールの原理上、車体側レール(ロアレール)とシート側レール(アッパーレール)は同じくらいの長さが必要になる。この方式の課題は、アッパーレールを長くできないことだ。アッパーレールが1mもあれば、シートの前後に突き出して邪魔になる。また、ストロークの端では、コロやボールがアッパーレールの端に寄るため、安定して支えることも難しい。

図2 シート移動の原理
(a)コロやボールを使う方式。一般的な1列目席で使われる。(b)車輪を使う方式。スライド長を長くするためにはこれしかない。
[画像のクリックで拡大表示]

 これに対してミニバンの2列目シートでは、アッパーレールにあるのはコロではなく車輪であり、しっかり軸受で支えている〔図2(b)〕。それがロアレールの上を走る。アッパーレールはシート長に近い長さがあるため“レール”と呼ぶが、動きとしては鉄道でいうレールと台車の関係に近い。ロアレールがレール、アッパーレールが台車である。レールならいくらでも長くでき、台車ならシート長に収まる長さにできる。

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