カルソニックカンセイは圧縮室を2室から1室に減らした空調用のロータリー式コンプレッサーを開発した(図1)。高回転での効率を下げる原因である過圧縮を抑える。効率をスクロール式よりも高くできる。高速回転させる頻度の高い電動コンプレッサーに向く。
空調のために冷媒を圧縮するコンプレッサーは通常、エンジンのクランク軸からベルトを介して駆動する。ところが電気自動車(EV)にはエンジンがないので電動にするしかない。ハイブリッド車(HEV)はエンジンが頻繁に止まるので、できれば電動にしたい。電動化は間違いなく進む。
エンジンで駆動する場合、エンジンの回転数は走る側の都合で決まる。コンプレッサーはこれに合わせて回るしかない。回転数が低いこともあれば高いこともある。
電動では、走りに関係なく、空調の都合だけでコンプレッサーの回転数を決められる。高い回転数で回せばコンプレッサーを小さくできるので、エンジン駆動のコンプレッサーより高い回転数で回すことが多い。
コンプレッサーにはベーンロータリー式(以下ロータリー式)とスクロール式がある中、ロータリー式がシェアを伸ばしている。唯一の弱点が、スクロール式に効率で及ばないことだった(図2)。特に回転数が上がると差が開く。今は構造が簡単でコストが低いため競争力があるが、電動化が進んで使用回転数が上がると、ロータリー式の低い効率が弱点として浮かび上がる可能性がある。