4輪操舵を操舵する方向で分けると、同位相と逆位相の2種類がある。制御のしかたでも操舵角制御、操舵力制御の2種類。今回は、4輪操舵が誕生した1980年代のメカニズムを引用しながら、原理を解説する。現代の電動4輪操舵を理解する助けになるだろう。

 4輪操舵は日本で始まった。1985年、日産自動車が「スカイライン」に装備して発売したのが最初だ。一気に広がったのが1987年。ホンダが「プレリュード」に、マツダが「カペラ」と米FordMotor社ブランドの「テルスター」に、三菱自動車が「ギャラン」に4輪操舵を装備した。

 このとき、操舵機構は今の電動式ではなく、油圧式や機械式であった(表)。当時のシステムは、メカニズムと原理が1対1で対応するので分かりやすい。前回解説した電動式の4輪操舵にも受け継がれている仕組みで、ポイントを押さえておきたい。

表 各社の機能
日産は1985年当時。その後、逆位相操舵もするようになる。機械式はあくまでも後輪駆動機構、前輪のパワーステアリングには油圧を使っていた。
表 各社の機能
[画像のクリックで拡大表示]