日本でもすっかりお馴染みになった米iRobot社のロボット掃除機「Roomba(ルンバ)」。その開発者が同社の創業メンバーで元Chief Technology Officer(CTO)のRodney Brooks氏だ。米MIT(マサチューセッツ工科大学)のコンピューター科学・人工知能研究所の元所長で、ロボットとAIに関わる研究の第一人者として知られている。

 今、Brooks氏が力を注ぐのが、工場の生産現場で人間と一緒に安全に作業できる協調型ロボットの開発だ。AIを活用して「製造現場で人間のように働くスマートな協働ロボットを実現する」(Brooks氏)。

 2008年にBrooks氏はRethink Robotics社(以下、Rethink社)を創業してCTOに就任。2012年には工場で部品の組み付け、加工機への搬送・取り出し、完成品の梱包などの作業が可能な可搬質量2.3kgの7軸双腕型ロボット「Baxter」を発売した。さらに2015年秋には、回路基板の検査や、0.1mmのクリアランス穴にピンを入れるなど、より精密な作業ができる可搬質量4kgの7軸単腕型ロボットの「Sawyer」も市場に投入している(図1、図2)。

図1 Rodney Brooks氏と「Sawyer」 
図1 Rodney Brooks氏と「Sawyer」 
Sawyer本体の質量はわずか19kgと軽く、アームの最大リーチは1260mm。人間による作業を前提とした、狭くて、多様な配列のワークセルの中でも巧みに作業できる。日本では住友重機械工業がSawyerの国内独占販売契約を結んでいる。
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図2 「Sawyer」のモニターとアームの先端部
図2 「Sawyer」のモニターとアームの先端部
人間のような2つの目が印象的なSawyerのモニター画面(a)。目線がアームを移動させる方向に動くようになっており、周囲の人間もロボットの動きを理解しやすい。アームの先端の手首部分には様々な対象物を持ち上げることのできるグリッパを搭載することができる(b)。
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