周囲に光線を発して反射光から空間を3次元的に認識するセンサー「LiDAR」の需要が急激に拡大する見込みだ。新技術の導入で価格が2~3年のうちに2~3桁下がる。現在は、自動運転の試験車両や建機など高価な移動機に限られる応用が、ロボット家電やAR(拡張現実感)などへ広がる。空間認識の“標準センサー”としてカメラと共に普及しそうである。
周囲の距離画像を捉えて3次元空間を認識できるセンサー「LiDAR(Light Detection and Ranging)」。試験走行中の自動運転車がカメラと共に必ず搭載しているのが、このセンサーである。今後の需要拡大を見込み、機器・部品メーカーが相次いで市場に参入している。
2016年末には、米Analog Devices社、ドイツInfineon Technologies社、伊仏合弁STMicroelectronics社などの大手半導体企業が、独自技術を持つベンチャー企業の買収や関連企業との提携を相次ぎ発表した注1)。機器メーカーでは、コニカミノルタやパイオニアが部品メーカーとしてLiDAR市場へ新規参入している。
LiDARメーカー各社は、価格を一気に2~3桁引き下げることを狙う。各社がベンチマークにしているのは、米Google社の自動運転車両に搭載している米Velodyne LiDAR社の製品である。現在の価格は数百万円。新規参入した各社が掲げる当面の目標は、性能を維持したままでの1万円以下への低減だ(図1)。例えばLiDARに特化したベンチャー企業のカナダLeddarTech社は、開発中の次世代品を100米ドル以下にする計画である。パイオニアは2022年以降に1万円以下での提供を目標に掲げる。