2016年3月、ベンチャー企業のWHILLは同社の電動車椅子「WHILL Model M」が米国食品医薬品局の認可を受け、医療機器として販売可能になったと発表した。これを受けて、いよいよ本格的に欧米の市場開拓に乗り出す。同社は、さらに先の用途も見据える。自動運転や人工知能の技術も取り入れ、「歩道のGoogle」の座を目指す。

日産自動車開発本部を経て、中国南京で1年間日本語教師を務める。その後2年間、世界各地に滞在して新規プロダクトの開発に携わる。2011年にWHILL project 開始。(写真:加藤 康)
杉江 理(すぎえ・さとし)
日産自動車開発本部を経て、中国南京で1年間日本語教師を務める。その後2年間、世界各地に滞在して新規プロダクトの開発に携わる。2011年にWHILL project 開始。(写真:加藤 康)

 「WHILL」の出荷を本格的に始めたのは2015年4月です。2016年の3月までで、オーダーと出荷と合わせて約500台。これまでは日本が中心で、アメリカと欧州はこれからです。先日、米国食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)の認可がようやく下りましたので。米国ではFDAの認可がないと、マーケティングができないんです。例えば、高齢者や障害者の方々の雑誌に広告を載せられないし、そもそも障害者や高齢者が乗っている写真を公開できない。それだけで「メディカルデバイスだろう」と言われてしまう。