大手通信機器メーカーや移動通信事業者が、「NB-IoT」という通信技術の仕様作りを積極化させている。さまざまな機器やセンサーなどをインターネットに接続するコンセプトの「IoT」向けで、今後威力を発揮する技術として注目を集めている。半導体や関連部品開発も急ピッチで進みそうな勢いだ。
「オペレーター(通信事業者)からは、今すぐにでも使いたいと言われている」(ある大手通信機器メーカーの技術者)、「IoTサービスを始めたい通信事業者が多くいる。そのツールとして期待を集めている」(エリクソン・ジャパン チーフ・テクノロジー・オフィサーの藤岡雅宣氏)。
世界大手の通信機器メーカーらが今、システム開発や仕様の標準化を急いでいる通信技術がある。その名称は「NB-IoT(NarrowBand IoT、エヌビーアイオーティー)」という注1)。さまざまな機器やセンサーをインターネットに接続するという「IoT(Internet of Things)」関連機器での利用に向けた新たな通信技術だ。
業界大手が総がかりで推進
2014年中ごろにコンセプトが登場し、2015年後半から国際標準化の議論が始まった注2)。そしてその数か月後には基本仕様がまとまるほど、急ピッチで策定が進んだ。正式仕様が発行されるのは2016年の春から夏の予定だ(図1)。
既にハードウエア開発は始まっており、中国Huawei Technologies社のように2016年夏にシステム提供を開始するという企業も登場した。普及促進団体も立ち上がっており、フィンランドNokia社やスウェーデンEricsson社、Huawei社のほか、英Vodafone Group(以下、Vodafone)社や中国China Mobile社、イタリアTelecom Italia社、スペインTelefónicaグループなどの大手通信事業者、米Qualcomm社や米Intel社など半導体のメーカー、さらに業界団体のGSM Associationまで加わっている。モバイル業界の大手企業/団体が総がかりで推進する勢いだ。