「SKYACTIV」第1段階の成功で勢いに乗るマツダが、いよいよ高級路線に舵を切る。カギを握るのが、次世代ディーゼルエンジンである。低コストで高い環境性能を達成しつつ、高級路線を目指す車両を開発する計画が分かった。これまでの大衆路線向けには、超希薄燃焼ガソリンエンジン「SKYACTIV-X」を投入する。

 マツダが2020年に直列6気筒ディーゼルエンジンを量産し、FR(前部エンジン・後輪駆動)車に搭載する計画があることが分かった。主力SUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)の次期「CX-5」から採用し、「アテンザ」などに採用を拡大する。

 複数の関係者が明かした。現行ディーゼルは、排気量が1.5Lと2.2Lの直列4気筒。次世代ディーゼルで6気筒に増やし、3.0L程度に“アップサイジング(大排気量化)”する。大衆車専業のマツダにとって戦略転換を意味し、悲願の高級路線にいよいよ舵を切る(図1)。

図1 マツダが目指す高級車の理想像
図1 マツダが目指す高級車の理想像
2017年10月開催の「東京モーターショー」で披露したコンセプト車「VISION COUPE」。「今のマツダでは難しいが、こんな車を発売できる企業を目指したい」(デザイン担当者)と考えて、開発した。想定仕様を明かさないが、車両の前が長くFR車に見える。直6エンジンを搭載できる空間は十分にありそうだ。
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 直4に比べて全長が大きい直6は、現行車種のほとんどに使うFF(前部エンジン・前輪駆動)車で横向きに置くことが難しい。縦向きに置くことになり、FR車が前提になる。

 FRにするとプロペラシャフトなどが床下に必要だ。車内は狭くなり、部品コストが増える。一方で、走る楽しさを訴求しやすくなる。現在、マツダのFR車には「ロードスター」がある。高級車ブランドで代表的なドイツのBMWやMercedes-Benz(Daimler社)の主力車種はFRだ。