左が本田技術研究所 四輪R&Dセンター 第4技術開発室 第2ブロック マネージャー 主任研究員の貝塚正明氏、右が同室 第3ブロック 研究員の山口直志氏
左が本田技術研究所 四輪R&Dセンター 第4技術開発室 第2ブロック マネージャー 主任研究員の貝塚正明氏、右が同室 第3ブロック 研究員の山口直志氏
[画像のクリックで拡大表示]

 「(電動化に向けた)大きな武器を手に入れた」―本田技術研究所 四輪R&Dセンター 第4技術開発室 第2ブロック マネージャー 主任研究員の貝塚正明氏はこう胸を張る。大きな武器とは、2016年以降、ホンダのハイブリッド車(HEV)に採用されている新構造の駆動用モーターを指す。従来型の駆動用モーターに比べて、出力やトルクを同程度に維持しつつ、体積を約23%、重さを約23%削減した(図B-1)。その結果、インバーターや減速機などを含めた駆動システム「i-MMD」の小型化につながった。現行アコードのHEVに採用した2モーター(モーターと発動機)の駆動システムでは、従来型のモーターを利用する場合に比べて、高さを約9.2%、幅を約9.7%削減できた。

図B-1 駆動用モーターを小さく軽く
図B-1 駆動用モーターを小さく軽く
本田技術研究所は、従来に比べて小型・軽量化した新構造の駆動用モーターを開発した(a、b)。より幅広い領域で、高効率な駆動が可能になった(c)。モーターを小型化したことで、ホンダの駆動システム「i-MMD」の小型化につなげた。幅を9.7%、高さを9.2%、それぞれ削減できた(d)。(図:(c)と(d)は本田技術研究所の資料を基に本誌が作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 駆動システムの小型化によって、より多くの車種への水平展開が「容易になった」(貝塚氏)という。従来型のモーターを利用した駆動システムのサイズでは、水平展開できるのは「セダンタイプを中心に、2~3車種ほど」(同氏)だった。

 新構造のモーターを標準とし、それぞれの車種が求める仕様に応じて若干の変更を加え、さまざまなHEVに展開する考えである。ほぼ同一の構造を備えたモーターを大量生産することで、部材の調達コストや製造コストなどの削減を図る。