体育の日を含む3連休の中日だった2017年10月8日、神戸製鋼所は都内で緊急会見を開いた。同社グループのアルミ・銅事業部門における品質データの偽装が発覚したためだ。
同事業部門が製造したアルミ板や銅管などで、顧客が求める仕様を満たしていないにもかかわらず、満たしているかのように品質データを書き換えていた。実際に偽装に手を下したり、黙認したりしていた従業員は管理職を含めて過去1年間で数十人に上る─。国内外に大きな衝撃が広がった。
その後、同社の主力である鉄鋼事業部門を含むグループ全体でデータ偽装が見つかっていく。偽装は遅くとも10年前から始まり、データを偽装した製品の供給先は、自動車や鉄道、航空機、電機など、500社以上に上ることも明らかになった。同社会長兼社長の川崎博也氏は、組織ぐるみの偽装も認めた(図1)。
最初の公表から1カ月以上を経た11月20日時点でも、日本の製造業界を揺るがした「神鋼ショック」の余波が収まる気配はない。広範囲かつ長期間にわたって継続されていたデータ偽装が、なぜ今回判明したのか。