「レンズが二つと冗長性があるステレオカメラ。比べて、レンズが一つの単眼カメラは逆光に弱い」。特異環境試験では、そうした当初の予想に反した結果が出た。単眼カメラを採用するスウェーデンVolvo社の「V90」が逆光3万5000lxという厳しい条件をクリア。ドイツDaimler社「メルセデス・ベンツ」ブランドの「Eクラス」と並び首位の栄冠を手にした。

 最新の自動運転機能(自動車線維持機能)は、降雨量30mm/h以上の降雨や逆光といった厳しい環境下でどの程度対応可能なのか―。本誌では、この点を評価するために、特異環境試験を実施した。

 結果は、Daimler社メルセデス・ベンツブランドのEクラスとVolvo社のV90がトップ(表)。両車は、公道試験に加えて特異環境試験でも安定した強みを見せた。公道試験では両車とともに上位3車に食い込んだスバルの「レヴォーグ」は、とりわけ逆光に対する結果が振るわず、特異環境試験では溝を開けられた格好だ。ドイツBMW社の「5シリーズ」は、降雨では成功例がなく見劣りのする結果だったが、逆光に対する対応力でEクラスとV90に迫った。

表 特異環境試験における降雨と逆光に対する試験の結果
車速を30km/hに維持した状態で降雨や逆光に対して自動車線維持機能を継続できるか試験した。降雨については、激しい雨(50mm/h)を2回試験し1回でも成功した車種は非常に激しい雨(80mm/h)、1回も成功しなかった車種は強い雨(30mm/h)の試験を実施した。逆光は、2万5000lxと3万5000lxのそれぞれについて2回ずつ試験した。ただし、エクストレイルとA5は仕様上の理由で、今回の試験条件では自動車線維持機能が作動しないことを確認するだけにとどまった。
写真:宮原一郎
表 特異環境試験における降雨と逆光に対する試験の結果
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