「海外の低価格機が出回るようになり、特徴ある製品を出さないと生き残れない。だから世界一の精度を目指した」─。高精度の研削盤で業界で名を馳せるナガセインテグレックス(本社岐阜県関市)。現在の中核技術の開発を始めた当時の状況と危機感を、常務取締役製造本部技術部部長の新藤良太氏はこう語る。

技術が軸の3要素

 多くの企業が、他社にない技術や製品で市場競争に挑んでいる。日経ものづくりが実施したアンケート調査でも、「あなたが関わる事業にはオンリーワンの技術や製品はあるか」との問いに対し、59.9%が「ある」と回答した(図1)

* ニュース配信サービス「日経ものづくりNEWS」の読者を対象に、アンケート用URLを告知して回答を依頼した。回答者プロフィールは、「数字で見る現場」に準ずる。

図1 6割がオンリーワン技術を保有
図1 6割がオンリーワン技術を保有
「ある」が59.9%を占める。多くの企業がオンリーワンで勝負していることが伺える。
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 ただし、「オンリーワン」を目指すにしても差異化の戦術は必ずしも「技術」だけとは限らない。優れた技術を他社に「先行」して市場投入することも重要だ。冒頭のナガセインテグレックスも、他社が手掛けていない技術をいち早く開発・導入。ノウハウや知見で一日の長があるからこそ、今でも技術力で一歩抜きん出た存在となっている(参照)。

 中堅・中小企業の場合は、大手メーカーが狙わないニッチ市場で高いシェアを確保するという戦術も有効だ。粉末冶金用金型でトップシェアを誇るゼノー・テック(本社岡山市)は、他社に先駆けて金型市場の1%程度というニッチ市場をターゲットに技術開発を進めてきた。だからこそ今の高いシェアがあると言える(参照)。

 アンケート調査からも、この3要素が重要なことが分かる。図1で「ある」の回答者に「その技術や製品がオンリーワンとなった主な理由は何か」を聞いたところ、55.6%が「他社が真似できない独自の技術を持っている」を挙げた。「業界に先駆けて開発に成功した」(45.2%)、「市場がニッチでプレーヤーが少ない」(38.6%)がこれに続く(図2)。

図2 技術と市場の絞り込みでオンリーワンに
図2 技術と市場の絞り込みでオンリーワンに
図1で「ある」との回答者に聞いた。55.6%が「他社が真似できない独自の技術を持っている」を挙げている。2番目が「業界に先駆けて開発に成功した」(45.2%)で、やはり技術力で差異化している企業が多いようだ。「市場がニッチでプレーヤーが少ない」(38.6%)がこれに続く。
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