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HOME有料会員向けトップ > ニッチ技術で圧倒的先行、得手を生かして他分野に展開

日経ものづくり 2017年11月号

オンリーワンで勝つ ものづくり7つの戦術Part2 事例

ニッチ技術で圧倒的先行、得手を生かして他分野に展開

[ゼノー・テック]

  • 吉田 勝
  • 2017/10/31 00:01
  • 1/2ページ

出典:日経ものづくり、2017年11月号、pp.57-58(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

 「他の金型とは“感覚”が違う。鍛造用金型や板金用金型を手掛けてきたメーカーが参入しても、すぐにはマネできない」。ゼノー・テック代表取締役の岸本泰博氏は自信をみせる。同社が得意とするのは、粉末冶金用の金型(図1)。オイルポンプ部品やクラッチ部品、パワーステアリング部品など、自動車向け部品の高精度で複雑な形状の金型を中心に手掛けている。

図1 粉末冶金用の金型
主に自動車部品向けの金型を製造する。その他、エアコンなどの家電向けも一部手掛けている。 (出所:ゼノー・テック)
[画像のクリックで拡大表示]

 粉末冶金では金属粉末を押し固め、それを焼結させて部品を造る。粉末を押し固める金型(型押し金型)は一般的なプレスや鍛造用の金型よりも押し込みのストロークが長く、高い加工精度が要求される。加えて、部品によっては寸法精度や強度をさらに高めるために焼結後に再圧縮する「サイジング用金型」が必要となる。同氏が言う“感覚”とは、こうした粉末冶金用金型ならではの特徴とそのためのノウハウが必要ということだ。

市場伸張にいち早く対応しトップに

 ゼノー・テックは、他社に先駆けて技術を培ったことで、今では粉末冶金金型で国内トップ企業になった。「QCD(品質、コスト、納期)でどこにも負けない金型を目指してきた」(岸本氏)。同金型も今は精度や複雑なものでも加工設備があればある程度造れるようになり、装置産業化している側面はある。それでも簡単には同社のレベルの金型は造れない。「最後の仕上げには職人の手作業が必要」(同氏)という。

 もともと同社の源流は、岸本氏の父親が経営していた工具メーカーにある。粉末冶金の超硬工具を造る中で、岡山に進出した取り引き先の大手メーカーの要請に沿って金型製作を請け負うようになった。それを事業化して分離・独立したのが現在のゼノー・テックだ*1

*1 ゼノー工具(本社岡山市)から1991年に分離・独立した。

 国内で粉末冶金技術が普及し始めると、強度があって複雑な形状の部品を量産できるとして自動車部品がこぞって採用するようになった。いち早く粉末冶金用金型を手掛けていた同社は、顧客の事業拡大に歩を合わせ早い段階から設備投資に踏み切った。同時に、新たな顧客も開拓して売り上げを伸ばし、ニッチ分野の先行者として現在のトップメーカーの地位を築いたのである。「市場が伸びているときにうまく事業を拡大できた」(同氏)。

 今でも、同社が手掛ける粉末冶金用金型のほとんどは自動車部品向けだ。そのため顧客の部品メーカーが海外に工場を移転するのに伴い、同社も海外に進出。試作は日本で、消耗品である金型の製造は工場に近い現地で、という顧客の要求に対応している。具体的には、中国、マレーシア、インドネシアの現地法人で粉末冶金用金型を製造する。

 現地の金型メーカーでは、寿命や寸法精度に難があったり、複雑な形状に対応できなかったりするため、日系部品メーカーの多くはゼノー・テックを選ぶ。「安価な海外メーカーに発注しても、結局当社に戻ってくる」(同氏)という。

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