中堅・中小企業の中には、大企業のような豊富な資金や物資・人材を持たなくても、他社がマネできない技術を極めたり、敢えてニッチ分野に特化したりして、オンリーワンの強さを誇るところがある。市場がグローバル化して企業競争が厳しくなるいま、そうした企業はどのような戦略を描き、どういう戦術を採っているのか。7つの企業事例を基に、オンリーワンの強さを築く秘密を探る。
オンリーワンで勝つ ものづくり7つの戦術
目次
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「技術」「先行」「ニッチ」で、顧客にとって唯一無二の存在に
「海外の低価格機が出回るようになり、特徴ある製品を出さないと生き残れない。だから世界一の精度を目指した」─。高精度の研削盤で業界で名を馳せるナガセインテグレックス(本社岐阜県関市)。現在の中核技術の開発を始めた当時の状況と危機感を、常務取締役製造本部技術部部長の新藤良太氏はこう語る。日経ものづくり
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世界初の新技術導入をきっかけに、高精度で他の追随許さず
[ナガセインテグレックス]
研削盤や微細加工機で業界随一の精度を誇るナガセインテグレックス。高精度加工を追求し、他社と桁違いの性能を実現している。日経ものづくり
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直径μmオーダーの線材で新機能、仕入れ先を巻き込み課題解決
[トクセン工業]
スチールラジアルタイヤの内部にあって強度を高めるスチールコードを「国内外のほとんどのタイヤメーカーに供給している」のがトクセン工業だ(図1)。他にもピストンリング用の素材となる異形断面の線材、半導体業界向けにはシリコンのインゴットをスライスするのに使うワイヤソー、あるいは魚釣り用具のメーカー向けには…日経ものづくり
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果敢なパイオニア精神で未知の領域へ、専用工作機械で培った応用力生かす
[山科精器]
「世の中で初めてのもの、よそがやろうとしないものをやりたがる」。山科精器代表取締役社長の大日陽一郎氏は、同社の社風についてこう語る。未知未踏な領域へ積極果敢に挑戦するという従業員のパイオニア精神が、同社の最大の強みだ。日経ものづくり
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2次下請け脱却し最終製品メーカーへ、技術を売るステージを作る
[田中金属製作所]
微細な気泡を含んだ水を作り出すシャワーヘッドで名を馳せる中小企業が岐阜県にある。それが、田中金属製作所だ。主力製品は、直径数0.1μ〜50μm程度の微細な気泡「マイクロナノバブル」を含んだ水を吐出するシャワーヘッド「ボリーナ」シリーズである。日経ものづくり
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ニッチ技術で圧倒的先行、得手を生かして他分野に展開
[ゼノー・テック]
「他の金型とは“感覚”が違う。鍛造用金型や板金用金型を手掛けてきたメーカーが参入しても、すぐにはマネできない」。ゼノー・テック代表取締役の岸本泰博氏は自信をみせる。同社が得意とするのは、粉末冶金用の金型。オイルポンプ部品やクラッチ部品、パワーステアリング部品など、自動車向け部品の高精度で複雑な形状の…日経ものづくり
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未開地をベストバランスで攻める、難しい「結球レタス」を植物工場で
[NOUMANN]
「結球レタスを手掛ける植物工場は弊社が国内唯一」と、NOUMANN代表取締役CEOの宮下清優氏は胸を張る。NOUMANNはベンチャーとして2014年に設立、2016年1月に福井県・美浜町で植物工場を稼働、2月から出荷を始めた。販路を開拓しつつ、出荷量を増やし、「今年度は昨年から売り上げが30~50%…日経ものづくり
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人づくりもデータ活用、難削材加工などで業績60%増
[今橋製作所]
茨城県日立市に本拠を置き、「難削材・難形状加工」と「超短納期」を武器に業績を伸ばしているのが今橋製作所だ。日経ものづくり
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5割がオンリーワン技術「絶対必要」、課題は引き継ぐ人材の確保
調査テーマ「オンリーワンの強さ」
他社にない技術や製品を磨き市場で確固たる存在感を示す─。アンケートからは、ほとんどの企業が、事業の維持・成長には「オンリーワン」の技術・製品が欠かせないと考えていると分かった。実際、Part1の図1で見たように、オンリーワンの技術・製品を保有する企業も多く、それによってトップシェアを実現しているとこ…日経ものづくり