メガサプライヤーとしてドイツ3社と肩を並べて競争するのがデンソーだ。LiDARや車載コンピューターなどを2020年に量産する。外部連携を進めつつも、半導体や人工知能(AI)の中核技術は自前主義を貫く。開発スピードやコストの課題を解決できるか、正念場を迎えている。

 デンソーは折に触れて「技術面で海外勢には負けていない」と主張してきた。だが、少なくともコスト面では量産規模の大きいドイツメーカーに分がある。欧州勢との違いを示すにはまず、上級車向けの先端技術で先行するほかない。その後、普及車に広げていけるかが問われている。

 トヨタ自動車が2017年秋に発売するセダン「レクサスLS」向けの主要部品は何とか死守した。前方監視用のステレオカメラとミリ波レーダーはデンソーが供給する(図1)。“世界一安全なクルマ”を目指してトヨタが開発したフラッグシップだけに、技術力を生命線とするデンソーにとって失注は許されなかった。望みはつないだ。

図1 トヨタの新型「レクサスLS」向けの主要センサーは受注成功
図1 トヨタの新型「レクサスLS」向けの主要センサーは受注成功
デンソーが前方監視用のステレオカメラとミリ波レーダーを供給する。ステレオカメラは、車両が走行可能な路面(フリースペース)を検出できるようにした。ミリ波レーダーは、歩行者の検知性能を高めた。
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