精密加工メーカーである太陽工業(本社長野県諏訪市)は信州大学と共同で、炭素繊維強化熱可塑性樹脂(CFRTP)をアルミニウム(Al)合金に接合する技術を開発している(図1)。ポリアミド(PA)6を用いたCFRTPの表面を熱で溶融させるとともに、体積を膨張させてAl合金と直接くっつけるという技術だ。

図1 CFRTPとAl合金を接合した試作品
図1 CFRTPとAl合金を接合した試作品
左は逆テーパーの溝を設けたAl合金にCFRTP板を接合した試作品、右は逆テーパーの溝がない試作品(a)。逆テーパーを設けたAl合金の接合部分(b)。CFRTPの表面が一度溶けてAl合金と接合されている。
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 図1を見て分かる通り、Al合金には逆テーパーが付いた溝がある。Al合金を高温に熱した後、CFRTPを溝に差し込むことで、2つの部材が接合する。接合強度はエポキシ系樹脂並みになるという。

 加えて、接合部にもう一度熱を加えれば、接合が緩んで部材を外せる。たとえ部材を誤って接合しても、破壊せずに元の状態に戻せるため、部材を再利用することができる。産業廃棄物の削減やコストの抑制につながる可能性がある。今想定している利用用途としては、ロケットや自動車部品、航空機、家電などがあるという。