図1は、軽量化を図った変速機のハウジング(以下、ハウジング)。京浜精密工業(本社横浜市)が開発した。現行のアルミニウム(Al)合金製ハウジングの一部を樹脂に置き換え、Al合金と直接接合してハウジングに仕上げている。

図1 軽量化した変速機のハウジング
図1 軽量化した変速機のハウジング
Al合金の一部を樹脂化することで質量を1割軽くした。
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 高い強度を要する部分にAl合金を残したまま、それほど強度を必要としない部分を樹脂化して軽くするマルチマテリアル設計のアイデアだ。試作したハウジングは、オールAl合金(アルミダイカスト)製ハウジングと比べて1割軽い。形状次第では2~3割の軽量化も可能と同社はみている。

 新しいハウジングは、樹脂製部品とAl合金製部品の2つから成るシンプルな構造。具体的には、ガラス繊維を30質量%含有するポリアミド(PA)6で出来たテーパー付き円筒形カバー(以下、樹脂製円筒形カバー)と、A5056製フランジだ(図2)。現在は試作段階のため、両部品とも切削で加工している。大きさは、樹脂製円筒形カバーの上端の直径が65mmで、下端の直径は90mm、高さは38mm程度だ。Al合金製フランジの直径は145mmで、高さは20mm程度となっている。

図2 ハウジングのカットモデル
図2 ハウジングのカットモデル
ガラス繊維強化PA6で出来た円筒形カバーと、Al合金のA5056で作ったフランジから成る。両部品は塑性流動結合で直接つながっている。
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