スマホがそうであるように、クルマもネットにつながるのが常識になる。 ネット経由で車載ソフトを最新版に更新し、新たな機能を提供する手法が広がる。 クルマから生み出される膨大なデータは、クラウドに蓄積されていく。 その無尽蔵ともいえるデータをどう生かすのか、自動車メーカーの知恵が問われる。

 車載ソフトウエアを無線で更新するOTA(Over The Air)を採用する動きが活発化している。OTAを先行的に導入した代表例は米Tesla社である(図1)。同社の車両は、ソフト更新の準備が整うと、センターディスプレーに通知が表示され、すぐにインストールするか、後でインストールするかを選べる。同社の車両ではこうした場面がもはや日常だ。

図1 Tesla社のソフト更新画面
図1 Tesla社のソフト更新画面
Tesla社の車両では、ソフト更新の準備が整うと、センターディスプレーに通知が表示され、すぐにインストールするか、後でインストールするか選べる。出典:Tesla社
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 Tesla社に遅れること約7年―。2019年以降、トヨタ自動車やドイツVolkswagen社、同BMW社などがOTAを相次ぎ導入する方針だ。トヨタはOTAに利用する車載通信モジュール(DCM)を共通化し、2020年までに日中米でほぼすべての乗用車に標準搭載することを表明した。ドイツBosch社はOTAで必要となる「セントラルゲートウエイ」と呼ぶECU(電子制御ユニット)を2019年に発売される日本メーカーの車両に出荷する計画を明らかにしている。

 OTAは車載情報システムの地図更新やアプリ更新といった用途では、これまでも使われてきた。これに対し、2019年以降に多くの自動車メーカーが導入するOTAは、車両制御系のECUのソフトを追加・更新することを視野に入れている。Tesla社に比べて導入が遅れたのは、ソフト更新に対応できない旧式のECUという“しがらみ”を抱えていたからだ。2019年以降のECUアーキテクチャーの変更によって、ようやくOTAが本格的に離陸する。