現実世界の出来事をデジタル世界において忠実に再現する「デジタルツイン」の注目度が高まってきている。現実世界の情報を収集し、デジタルツインとして再現・分析する技術の向上によって、デジタルツインの活用範囲が大幅に広がってきているからだ。その影響は、製造業の競争力を飛躍的に高めるだけでなく、ビジネスモデルの変革にまで及ぶ。製造業革新を加速するデジタルツインの現状を追った。
特集
製造業革新を加速するデジタルツイン
現実世界の未来を緻密に予測
目次
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究極は現実世界の“今”を再現、製品や生産設備で活用が広がる
「経年劣化を予測できれば、不具合発生前の保全提案が可能なので信頼性向上に役立つ。製品寿命を前提とした取り扱いの注意を顧客に見える化して説明しやすい」「従来は開発や設計の支援手段だったシミュレーション技術が、ビジネスモデルの一部や製品・サービスの一部となり、より直接的な収益の手段となり得る」。これらは…日経ものづくり
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センシングは初めの一歩、情報を得るために手を尽くす
デジタルツインを実現するには、取りも直さず現実世界の情報を入手することが必要だ。センサーを取り付けただけでは何も起こらないが、センサーなくしてデジタルツインを生かすことはできない。日経ものづくり
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デジタル世界だからこそ、あらゆる事態の想定が可能に
プラント装置のポンプから、異常を知らせる信号が上がってくる。吸い込み圧力、吐出圧力、流量が大幅に低下し、さらに加速度計が振動の発生を検知。この状態ではポンプの軸受が数日しか持たないことが判明したが、なぜ振動が発生しているかは分からない。そこで、得られた情報をデジタルツインに当てはめて流体解析を実施。…日経ものづくり
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2つの世界を区別なく表示、リアルタイムな連携も実現
タブレット端末で装置を撮影すると、その映像に重なって計器や数字が表示される。これらは現在の装置の状況を示すものだ。装置の扉を開けなくても、装置に計器やディスプレーが付いていなくても、リアルタイムで状況を正確に把握できる─。日経ものづくり
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期待は大きくも取り組みは途上、再現精度や人材が課題
調査テーマ「デジタルツインの現状と課題」
現実世界における製品や設備の状態をデジタル世界で再現するデジタルツインは、今後の製造業を大きく変える可能性がある。現時点で取り組む企業は多いとはまだまだ言えないが、デジタルツインを活用することで、不具合の未然防止や稼働条件の最適化など、これまでは実現できなかった新たな価値を製品や生産設備に加えること…日経ものづくり