IoTの将来を大きく左右する技術として「ブロックチェーン」が脚光を集めている。ネットを介して繋がった人や機械の間に信頼関係を築くことで、さまざまな取引や共同作業を実現可能にできる。ソニーの関連会社や積水ハウスなどが、早くも実用化に乗り出した。いずれはIoTの基盤技術になりそうだ。
「今年が実用化元年だ」(日本IBM IBMクラウド事業本部 IBMクラウドマイスター エグゼクティブ ITスペシャリスト ブロックチェーン・クラウド・リーダーの紫関昭光氏)。
2017年、ブロックチェーン技術を利用した実サービスが相次いで立ち上がる。効果を確かめるための実証実験の枠を超え、現実の業務へ適用が始まる格好だ(図1)。
楽天証券は、10月をメドにブロックチェーンを活用したユーザーの本人認証サービスを始める計画である。同社と顧客、セコムトラストシステムズの3者が分散保有した認証キーを利用して、IDやパスワードが不要な認証を可能にするという。
ソニーの子会社で教育サービスを手掛けるソニー・グローバルエデュケーションは、ブロックチェーンを使ってテストの成績データをオープンかつ安全に相互利用できる技術を開発。2017年中に自社サービスへの適用を見込む。
積水ハウスは、賃貸業務でのブロックチェーン活用を進める。本人確認などに利用することで、賃貸手続きの一部をスマートフォン上で実行できるアプリを2017年中にも提供する(第2部「不動産、農業、データ取引、非金融分野でも広がる活用」参照)。