日産自動車が2018年に、可変圧縮比エンジンを量産する。かねて多くの研究があるが、実用化しなかった“夢の技術”。エンジン開発の長い歴史に名を刻む快挙だ。燃費性能と動力性能を大きく高めるのにとどまらず、電気自動車時代の新しいエンジンの姿を見据えた布石でもある。全貌を解き明かす。
特集
可変圧縮比の全貌
日産が狙う発電エンジンへの布石
目次
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25年に熱効率50%の発電エンジン
20年以上の研究と開発を経て、日産がいよいよ可変圧縮比(VCR)を2018年に実用化する。燃費と走りの両立に加えて、超高効率な発電専用エンジンの実現を見据えた。VCRを使って、2025年頃にエンジンの熱効率を50%にする高い目標を掲げる。独自の複リンクで「超ロングストローク」を実現し、「スーパーリー…日経Automotive
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独自の複リンクに多くの狙い
コンロッドの代わりに3本のリンクを配置する日産の可変圧縮比技術。圧縮比を連続的に変えることに加えて、振動や摩擦損失を大きく減らせる構造にした。生産部門と密に連携して小型化につなげ、圧縮比のばらつきを厳密に管理する。日立オートモティブのアクチュエーターは、開発途中で構造を大胆に見直して小さくした。日経Automotive
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まずPorscheが18年に採用か
欧州勢が手掛ける可変圧縮比は、2段階の可変幅にとどめる簡易式。2025年に一段と厳しくなるCO2排出量規制への対策を見据える。主にコンロッドの変更にとどめる安価な構成とし、費用対効果が高いとソロバンを弾く。FEV社やAVL社などが熱心に提案し、まずは高性能スポーツ車で実用化しそうだ。日経Automotive