前回は、キャズム理論をベースに顧客特性を学びました。とくに理想の顧客増を浮き彫りにするペルソナマーケティングの重要性を強調したトピックとなりました。今回はいよいよ「商品の値決め(価格設定)」を取り上げますが、本題に入る前にペルソナマーケティングについてもう少し触れておきたいと思います。

 だいぶ前になりますが、本連載の第3回となる「強みを活かせる“土俵”をどうやって捉えるか」で、STP(セグメンテーション、ターゲッティング、ポジショニング)マーケティングに関して次のように説明しました。

ポジショニングをもとに、ターゲット像を膨らませて、そのターゲット数などを推計していけば、おおよその市場規模(ポテンシャル)を見積もることも可能なのです。この「ポジショニングから入る」の具体的な手法については、別の回でお伝えすることにしたいと思います。

 これは、通常のSTPマーケティングの「セグメンテーション→ターゲッティング→ポジショニング」という順番ではなく、「ポジショニングから入る」というアプローチ法について触れたものです。このことを、もう少し詳しく説明します。第3回では、ポジショニングについては以下のように説明しました。

ここで重要なのは、このポジショニングマップ上で、自社の商品・サービスが「ぽっかりと1カ所に位置付けられている。あるいは、圧倒的な差(優位性)を持っている」ということです。しかも、それが「お客様の頭の中で描かれている」ということです。

 ここで言う「お客様の頭の中で描かれている」の“お客様”とは、製品・サービスの理想のユーザー像として定義された仮想の人物像であるペルソナそのものとなります。ペルソナが自社の商品・サービスを他とは違うものとして(欲しいものとして)“認識できている”ことを最初に確認することが「ポジショニングから入る」ということなのです。