この連載は、今回が最終回になります。これまで8回にわたり「売れる仕組み」づくりであるマーケティングについて学んできました。

 連載の初回で触れましたが、マネジメントの父と称されるピーター・F・ドラッカー博士は、「究極のマーケティングは、セリング(販売)を不要にするもの」と述べています。エンジニアの皆さんが汗水流して研究・開発した新商品・サービスが売れるか否かは、このマーケティングにかかっていると言っても過言ではないのです。

 さて、ここで注意しておきたいことがあります。それは、「売れるか・売れないか」はマーケティングの範疇(ちゅう)ですが、「儲かるか・儲からないか」はマーケティングだけではどうにもならないということです。

 この「儲かるか・儲からないか」。マーケットでお客に選ばれるだけでなく、長期的かつ良好な関係を築き、継続的な商品・サービスのやり取りがあり、競合他社を圧倒していく存在となれるかどうかにかかっています。このような、「儲かる仕組み」のことをビジネスモデルと言います。

 実は、どんなに良い商品・サービスを優れたマーケティング戦略の下で展開したとしても、このビジネスモデルが悪いと最終的には負け戦になってしまうのです。皆さんも経験がありませんか、「あんなに売れたのに、なんで儲からないんだ?」「昨年はあんなに売れて利益が出たのに、どうして今年は全然ダメなんだ?」という経験が……。これは、ビジネスモデルそのものに問題があることが多いのです。

 そこで、最終回はこれまで学んだマーケティングを業績向上に活かすために、「儲かる仕組み」であるビジネスモデルについて解説します。