新薬の承認数は年々減少し、ブロックバスターと呼ばれる大型新薬も不発。低分子医薬品から高分子(バイオ)医薬品へのシフトに伴って新薬開発の難度は増し、次世代薬の候補(パイプライン)も枯渇気味。その間に、既存のビジネスを守ってきた特許も次々と切れていく…。

 製薬業界は近年、こうした“生みの苦しみ”に直面している。この状況を、テクノロジーの力で打破できないか――。業界にそんな働きかけをしているのが、新薬の有効性や安全性を検証する臨床試験(治験)の計画・管理ソリューションを手掛ける米Medidata Solutions社だ。

 同社が提唱するのは、スマートフォンやウエアラブル端末などのモバイルヘルス(mHealth)の技術を治験に採り入れること。薬の有効性や安全性を測る指標を、医療機関ではなく患者の日常生活において収集。これを通じ、治験をより効率的に進められるようにする(関連記事)。

 同社日本法人社長で、アジア・太平洋地域の事業を統括する立場にある山本武氏(メディデータ・ソリューションズ アジアパシフィック統括責任者 社長)は、モバイルヘルスの活用は治験のイノベーション史における「最大の事件」だと話す。テクノロジーが製薬業界にもたらすインパクトについて、同氏に聞いた。

(聞き手は大下 淳一、小谷 卓也=日経デジタルヘルス)

メディデータ・ソリューションズの山本氏(写真:皆木 優子、以下同)
メディデータ・ソリューションズの山本氏(写真:皆木 優子、以下同)
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