※「新・公民連携最前線」2015年10月30日付の記事より

住民が健康で元気に幸せに暮らせる新しい都市モデル「Smart Wellness City」プロジェクトを当初から中心的な立場で推進してきた新潟県見附市。「市民との協働」によるまちづくりを進めることで、健康づくりを促すさまざまな施策を繰り広げている。具体的な取り組みなどについて、久住時男市長に聞いた。

(聞き手は小口 正貴=スプール、小谷 卓也=日経デジタルヘルス)

(写真:岩船雄一)
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(写真:岩船雄一)

――見附市は健康を軸としたまちづくりに積極的に取り組まれています。このテーマに注力したきっかけは何だったのでしょうか。

 前の市長が健康に関する意識を持っていて、その構想を引き継いだのがきっかけです。前任者が取り組んだ案件は、あえて継続しないという風潮もありますが、私は「体にいいことはやろうじゃないか」と素直に受け止めました。実際、私は健康でいられることは幸せに一番近いという思いを持っていました。

 市長に就任したのは2002年。今でこそ健康は、社会保障につながるという意識が出てきてはいるものの、当時は「健康運動は暇を持て余している人たちがやること」という認識でした。それでも、健康運動教室など健康づくりの取り組みを信念を持って広げてきました。

 健康づくりの取り組みについては、当初から筑波大学の久野譜也氏(筑波大学教授・つくばウエルネスリサーチ 代表取締役社長)の協力を仰いでいました。やってみると、実際に成果が出始めました。誰でも体力年齢が若返ることがデータで実証されるのです。それに、健康運動教室に参加した市民は口々に「良い」と言ってくれる。

 そこで、見附市の高齢者のおよそ5分の1となる2000人を目標に、健康運動教室への継続参加を目指しました。この取り組みを社会保障に関係するものにつなげていくためには、ある程度の規模の人たちが参加して、結果を残す仕組みを作らなければいけないと考えたからです。