米Columbia University, Professor of Engineering and Data ScienceのHod Lipson氏のインタビューの後半。同氏が予測するAIの将来像を語ってもらう。前半はこちら。(聞き手=今井拓司)

 人工知能(AI)は六つの波で進化していくと考えている。第1の波はルールベースのAIで、この考え方が1950年代から40年ほど優勢だった。この発想は重要で、「チャットボット」といった現在の対話型AIなどにも使われている。

かつてのAIはデータよりルール
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かつてのAIはデータよりルール
2017年10月に開催された国際シンポジウム「AI and SOCIETY」でのLipson氏の講演から。

 その次に来たのは「予測型の分析(Predictive Analytics)」。いわゆるビッグデータの処理で、1990年代に始まった。統計的な機械学習の技術を使って、株価や天気や売り上げなど、さまざまなものの予測が始まった。

 今来ているのが第3の波の「認知コンピューティング(Cognitive Computing)」だ。いわゆる深層学習(ディープラーニング)や深層強化学習を使って、画像や動画、音声やテキストの理解が可能になった。完全自動運転車は、最も難しかった周囲の環境の認識という問題を、深層学習が解決したことで実現の道が開けた。

第4の波は創造性

 次に来る4つ目の大波が「クリエイティブなAI(Creative AI)」だと考えている。既に研究開発は進んでおり、製品に使われるのもすぐだろう。いわゆる生成モデルのディープ・ニューラル・ネットワーク(関連記事)に加えて、進化的アルゴリズム(Evolutionary Algorithm)やルールベースの手法も使われる。