バンダイナムコエンターテインメントが手掛けるロケーションVRの施設「VR ZONE SHINJUKU」。日経エレクトロニクスは、その責任者である小山順一朗氏に施設開設の狙いやVR事業の展望についてインタビュー。その内容を4回に分けてお届けする。第2回の今回は、VR事業を始めた契機などを語ってもらった。(前回はこちら

インタビューに答える小山氏
インタビューに答える小山氏
(写真:加藤康、以下同)
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 なぜ、「VR ZONE SHINJUKU」のようなVRアクティビティー施設を設けたのか。最大の理由は、アーケードゲーム市場に対する強い危機感でした。同市場は数年前から右肩下がりで、現在もその状況は変わりません。

 アーケードゲーム市場が衰退した契機の1つになったのは、「大規模小売店舗立地法」が 2006年5月に改正されたことです。この改正により、大規模なショッピングセンター(SC)を出店しにくくなる。このため、改正前の2005年ごろに小売り各社がこぞってSCを出しました。大きな駅の周辺だと、複数の大型SCが建設されました。

 当時、SCに家族を呼び込む手段として、SC内にアーケードゲームを置いたゲームコーナーやアミューズメントコーナーを設置するのが流行でした。ですから、駆け込み需要でSCが急増すると、それに伴いアーケードゲームに対する需要も増えました。しかも、SCの中には、経営母体が異なるゲームコーナーがいくつもありました。例えば、SCを運営する小売店が手掛けるものが2階に、我々が手掛けるものが3階にある、といった具合です。

 2005年ごろは、既に「街のゲームセンター」が激減しており、アーケードゲームメーカーは苦しい状況にありました。それだけに、アーケードゲームメ―カーはこの特需に乗ろうと、家族で楽しめるようなクレーンゲームをはじめとする「プライズ(景品)ゲーム」やプリントシール機、メダルゲーム、それからゲームをプレーするとカードが出てくる「キッズゲーム」など、いわゆるファミリー向けアーケードゲームの開発に力を入れました。