グリーンパワーキャピタル社は、米カリフォルニア州に本社を置き、米国やカナダ・オンタリオ州、ドミニカ共和国などで、太陽光発電や風力発電を開発し、建設・販売してきた。固定価格買取制度の開始に伴い、2012年に日本市場に参入した。同社の最高経営責任者(CEO)であるディック・タルバート氏に日本における戦略を聞いた。

――日本における事業戦略を教えて欲しい。

グリーンパワーキャピタル社のディック・タルバートCEO
グリーンパワーキャピタル社のディック・タルバートCEO
[画像のクリックで拡大表示]

タルバート 事業モデルは、太陽光発電所を開発し、竣工後、運用開始日までに、発電事業者に引き渡すというものである。日本では、国内の太陽光発電事業者5社と提携しており、これらの発電事業者向けに継続的に開発していく。

 日本で開発中の太陽光発電所は、合計出力約200MWとなっている。これらの案件は、2016年中に成約したいと考えている。日本における最終的な開発目標は、当初は合計出力300MWと言ってきたが、現状の感触では、合計出力400MW近くまで伸びそうだ。

 開発のメインターゲットは、出力10MW以上のメガソーラー(大規模太陽光発電所)である。これと同時に、出力1MW~2MWのメガソーラーも手掛けている。

――日本では、設備認定を取得したものの、着工していない滞留案件が問題視されている。こうした滞留案件は、何らかのリスクがあることが多い。

タルバート 北米での経験から、どのようなリスクが内在しているのか、理解している。リスクをいかに回避しながら開発するのか、北米でのノウハウを生かしている。

 例えば、五つの案件を進めているとすると、そのすべての案件に何らかのリスクがある。一つの案件の実現を断念せざるを得なくなっても、残りの四つの案件を進められれば、会社としては良い。案件を多数持ちながら、育てていくように開発していくことが重要だ。

 最大のリスクは、連系協議によって連系できる容量を減らされることだ。林地開発に関して、地方自治体と認識にズレが顕在化することもある。例えば、開発が進んだ段階で、計画していなかった調整池の建設が必要になったりする。また、土壌については、採用した架台方式で必要な強度が得られるかなどのリスクがある。

――平坦な土地での開発余地が減り、傾斜面での案件が増えている。

タルバート ゴルフ場、傾斜地、森林などの案件が増えているように感じるが、われわれは極力、造成費を抑えられる案件の開発を目指している。海岸線付近の土地も避け、海から数km離れた場所などを選んでいる。海に近すぎると、塩害のリスクがあるからだ。

――設備の選定について、教えて欲しい。日本企業製も採用しているのか。

タルバート 太陽光パネルは、中国系企業などが強いので、多く使っている。トリナ・ソーラー、インリー・グリーンエナジー・ホールディング、ハンファQセルズ、カナディアン・ソーラーなどだ。

 パワーコンディショナー(PCS)は、日本に良い企業が多く採用もしている。東芝三菱電機産業システム(TMEIC)、富士電機、日立製作所などだ。さらに、ABB、SMAソーラーテクノロジーなど、欧米企業の大手メーカー製を採用している。中国企業製のPCSは品質的にまだ採用するレベルでないとみている。

 日本メーカー製のPCSを採用する利点は、日本メーカーが電力会社と強いコネクションを持っていることにもある。TMEICや日立は、特に強いコネクションを持っている。