――創業から14年が経ち、当時と比べると健康に関するサービスやデバイスが続々と登場し始め、人々の意識も確実に変化してきています。今、改めて感じるヘルスケアサービスの問題点はどこでしょうか。

 ヘルスケアの分野は、細かく区分けされた状態で各々が取り組んでいるという印象を受けます。健康機器や食事の指導、ウエアラブルデバイスなど“部品”となるものは多々存在しますが、それらがバラバラに存在しているためにかみ合っていないのです。

 しかし、ヘルスケアにおいては日々の健康管理から疾病の治療までを一貫性を持って考える必要があります。例えば、がん患者を減らすためにはがんの治療を行うだけではなく、人々の生活習慣を良い方向に変えるところから始めるべきだと考えています。

 医療機関と健康管理サービスの連携が取れていないことは、医療機関側でも問題視されていることです。例えば、高脂血症や糖尿病の患者に対して内科医は薬を処方することしかできませんでした。しかし、一度薬を処方してしまうと減薬が難しくなってしまいます。理想としては、薬を処方する前に運動や食事の指導を行うべきですが、これまではその術がなかったのです。

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 日本に先立ち、米国や欧州では健康管理と医療行為を掛け合わせた統合医療の取り組みが進んでいます。米国では、最新の治療法と古代から伝わる伝統療法を組み合わせることで、がんをなくすというプログラムが行われており、それによってがん患者の数が減少したという報告もされています。

 今後、日本でもこうした統合的なヘルスケアが求められると感じています。そのためにリラクゼーションとデジタルヘルスの掛け合わせから、ゆくゆくは保険事業や病院経営など医療の領域へも事業を展開したいと考えています。