「日本の大手企業は時代遅れ。優秀な人材は働きたがらない」。こう断言するのが、シリコンバレーを拠点に各国の技術ベンチャーに投資するUzzaman氏だ。2年で変わるトレンドに追いつき、Googleなどの競合と対峙するには、日本の大企業にも大規模なベンチャー投資が欠かせないと説く。世界で勝つためのベンチャーとの付き合い方を同氏に聞いた。

 米国の大手企業も、日本の企業と同様に自社で開発やR&Dの部門を持っています。大きな違いは、日本の大手企業は自社のR&Dを信じ過ぎていて、ベンチャーに対する信用度が低いこと。ベンチャーが開発したものが自分たちの参考になると思っていないんですね。そこで気付くべきなのは、現在世界の(技術や消費の)トレンドは変わりつつあり、トレンドをコントロールしているのは世界の若者たちということ。AI(人工知能)の技術にしても、どちらかというと大きい夢を見られる人が勝ちなんです。

 例えば今、世界で次々発明をしているのは(米Tesla Motors社CEOの)Elon Muskみたいな人たちです。同氏は最初にPayPalをつくって、その後、TeslaやSpaceXをつくりました。金融から車、ロケットまで。発明をする人はPh.D.を持った、すごい科学者じゃなくてもいい。大きいビジョンを持ち、そのビジョンをうまくプロジェクトマネジメントできる人たちが勝っていくんです。

 今、シリコンバレー全体の流れを見ると、だいたい2年でトレンドが変わっています。2年ごとに変わっていくとなると、従来の開発部門に頼って対抗するのは、結構難しい。日本の大手企業は、自社の開発部門を持って、若者が2年で変えちゃうトレンドと競争しようとしていますが、大きな無理をしている気がします。